【読書】欧州を席巻する反リベラリズムと社会の分断【リベラル嫌い】

イケハヤさんのツイートから本書を知り、読んでみました。結論は良書。今の時代の変化、社会の怒りを読み解けます。

ジェネレーション・アイデンティティとは

過激な活動で知られながらGI(ジェネレーション・アイデンティティ)の支持が広がっている背景の一つに考えられるのは、欧州でこの間頻発したテロだ。GIによると、メンバーが急増したのは2014年以降。欧州でイスラム過激派による大規模なテロ事件が起き始めた頃だ。テロをきっかけに欧州でイスラム移民に対する反感が高まる中、GIは重視する「行動主義」を実践し、活動を過激化、活発化させてきた形だ。

結論として、日本でもこういった活動が広まると思う。社会の分断が進み、テクノロジーや起業だけでは問題解決できなくなりました。より多くのインフルエンサー、そして活動家が政治の分野に流れそうです。

なお、僕もそういった時代での立ち位置を考えました。例えば「資金提供者」として動くとか、もしくは「スピーチライター」あたりだと思う。

ヨーロッパで起こるテロの恐怖について

実際、テロが欧州市民に与えた衝撃はかつてないほど大きかった。パリのGIのデモで何度も言及されていた2015年11月13日夜のテロ事件は、入念に準備された極めて凄惨なものだった。爆発物や自動小銃を使った無差別の銃撃や自爆テロが約30分の間にパリ市内6カ所で発生し、少なくとも130人が犠牲になった。

最後にテロの標的になったのは、米国のバンド「イーグルス・オブ・デス・メタル」のライブが行われていたコンサートホール「ル・バタクラン」だった。コンサートの開始から約1時間が過ぎ、約1500人の観客が演奏に酔いしれている頃、自動小銃AK47を持った黒装束の犯人らが現れた。いきなり銃撃を始め、逃げようとする人々も次々に撃たれた。犯人グループはその後、人質をとった。警官隊が突入すると、犯人のうち三人が自爆装置を起動させて死亡、90人近くが命を落とした。

一方、事件直後から関与が疑われていたイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」はすぐに、ネット上に犯行声明の動画をアップした。銃を手にした男らが並ぶ中、「フランスが空爆を続ける限り、平和ではいられない」「おまえたちは我々を抑圧し、宗教を攻撃し、預言者を侮辱した」などと、IS対策としてフランス政府が実施していたイラク、シリアへの空爆を批判。イスラム教徒に向けて「フランス人に脅威を与え、眠らせるな。武器や車、毒まで入手可能だ」と戦いに参加することを呼びかけた。

移民が世界の「分断」を生み出している話

今や、フランスのアイデンティティ、ルーツは浸食されてしまっているんだ。もはや、誰も『フレンチマン』とはいかなる者で、どう生活するべきか分からなくなっている。(ルネサンス期のイタリア人画家の)レオナルド・ダ・ヴィンチはフランスに移住し、同化できたかもしれない。でも、100万人の移民の同化は(移民の受け入れを発表した)ドイツでは起こりえない。移民は我々の生活をよくする存在ではないんだよ」と断言する。

我々がするべきことは「再移民(re-migration)」で彼らを母国に返すことです。移民問題に関してはいろいろな解決策が試されてきたが、うまくいかなかったと思っています。残っている唯一の解決策が「再移民」です。この解決策はすべての人にとって有益です。我々には、まだミスを取り返す時間はあります。

こういった話を聞いてもピンと来ない人が多いと思う。しかし実際にヨーロッパに行くと気持ちが変わります。

僕は以前にノルウェーの首都であるオスロに行きました。そこでの光景が忘れられません。平日の日中から移民達が道端で騒ぎ、大きな音楽を流し、あたりには大麻の匂い…。夜中に街を歩いてみたら、黒人が暴れて騒いでいました。こういった状況を目の当たりにすると、今の世界情勢の見え方も変わってきます。

ヨーロッパで起こる「白人差別」について

GIは白人至上主義者ではありませんが、白人差別の広がりを懸念しています。小学校で白人差別を受けたことを理由に、GIの活動に参加する人も多いです。今や、クラスで白人は少数派で、「むしろ最下層と言ってもいい位置づけだった」というメンバーもいます。こうした若者たちに居場所を提供するというのも、GIの重要な役割です。私自身も生徒の約半数を移民が占めるパリ郊外の高校に通い、白人差別を経験しました。

日本人からすると「白人差別」とかって意味不明ですよね。ここに関しては「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の小説が参考になります。

イギリスの庶民階級で起こっているリアルな話。多くの人が考えるイギリスとは、大きくかけ離れています。それほどまでに、世界が壊れつつあるということです。

歌(ミーム)をキッカケに活動が広まる

1万人→50万人に絶望の歌をきっかけに生まれたデモは、企画したラブリンカさんの想像を遥かに上回る数の人が参加し、反緊縮運動の足がかりとなる。最初のデモは2011年、ポルトガルで反緊縮政権が誕生する4年前のことだった。

1万人→50万人に絶望の歌をきっかけに生まれたデモは、企画したラブリンカさんの想像を遥かに上回る数の人が参加し、反緊縮運動の足がかりとなる。最初のデモは2011年、ポルトガルで反緊縮政権が誕生する4年前のことだった。

全ての紹介するにはボリュームが多すぎる本でした。しかし世界情勢を理解したいなら、読んでみて損しません。以上です。

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