今回は「ビットコイン × スマコン」の領域を調査しました【未来論】

こんにちは、マナブです。
本日は「ビットコイン × スマコン」の解説です。

  • 前半:ビットコイン × スマコン分野の調査した
  • 後半:ビットコインの将来性について考察する

クリプト界の王者について、学びましょう。
知識ゼロでも理解できるように、基礎から進めます。

ビットコイン × スマコン分野の調査した

まずは、下記の「問い」からスタートします。

なぜ、ビットコインにスマコンが必要なのか?

結論は「最も安全な”スマコン”を作るため」です。

基本から解説すると、まずスマートコントラクトにおいては、Ethereumが有名ですよね。その他にもスマコンを動かせるチェーンは多いですが、2022年3月現在だと、やはり「スマコンの王者=Ethereum」です。

わざわざビットコインを使う理由は?

Ethereumのスマートコントラクトも素晴らしいですが、同じことをビットコインで実現できたら、さらに素晴らしいです。というのも、やはり「プロジェクトの分散性」や「セキュリティの高さ」を考えた際には、Ethereumよりもビットコインの方が優れているからです。参考までに、下記が分散性のデータです。

  • Bitcoinのノード数:15,199
  • Ethereumのノード数:6,367

ノードとは、そのコインのネットワークを管理するPCのことです。数字を見ると明らかですが、ビットコインの方が分散していますよね。

Ethereumも素晴らしいですが、しかしビットコインでスマコンを実現できたら、より堅牢なセキュリティを構築できるはず。Ethereumのセキュリティも充分に高いですが、しかし「ビットコインを使うことができたら、さらに安心できる」という考え方です。

有名なプロジェクトは2つある

ビットコインへのスマコン搭載に関しては、下記が有名です。

  • その①:Stacks
  • その②:RSK (=Rootstock)

上記を理解することで、全体像が頭に入るはずです。本記事では、技術的に細かい部分は追いかけません。そこを追いかけても、大半の人にとって意味がないからです。あくまで「全体像の理解=マーケット全体の流れを追える=時代の先読みにも繋がる」という視点で解説していきます。

その①:Stacks

もともとは「Blockstack」という名前でした。現在は「Stacks」です。Stacksの概要について、公式から引用します。

Stacks is a layer-1 blockchain that connects to Bitcoin and brings smart contracts and decentralized apps to it. Smart contracts and apps developed on the Stacks platform are natively integrated with the security, stability, and economic power of Bitcoin.

Stacksは、レイヤー1のブロックチェーンです。Stacksはビットコインに接続することで、ビットコインのネットワーク上に”スマートコントラクト”や”分散型アプリ”を作ることができます。Stacks上のサービスには、ビットコインのセキュリティが引き継がれます。

上記のとおり。要するに「ビットコインの拡張ツール」と考えたらOKですね。基本的にビットコインは、利便性よりも安全性を重視した設計です。なのでビットコインにスマートコントラクトを搭載することは出来ません。しかし「Stacks」という「ビットコインの拡張ツール」を使うことで、ビットコインが便利になります。

しかし、ここで疑問が生まれるはず。
どうやって、セキュリティを引き継ぐのか?

ここに関しては「Proof of Transfer」という「コンセンサス・アルゴリズム」を使います。ビットコインは「Proof of Work」を使っていますが、それを改善した技術です。

※補足:コンセンサス・アルゴリズムとは?
言葉の意味は「コンセンサス(=多くの人の意見)」を決定する為の、アルゴリズムです。要するに「意思決定の仕組み」と考えたらOKです。

Proof of Transferとは?

公式のがわかりやすかったので、下記のとおりに引用します。

Proof-of-Transfer-en

英語だと萎えると思うので、下記で日本語に翻訳しました。

Proof-of-Transfer

上記のとおり。流れをシンプル化すると、下記のとおりです。

  • 手順①:StacksのネットワークにBTCを送る
  • 手順②:抽選が発生して、勝者が選ばれる
  • 手順③:その勝者が、報酬としてSTXを得る
  • ※補足:STXは、Stacksが発行するコインです

これだけです。通常のマイニングでは「計算処理のパワーによる戦い」が行われるのですが、Proof of Transferでは「ビットコインを送るだけ」に置き換えられています。なお、より詳しい解説は公式から下記のとおりに引用します。

The Stacks blockchain allows for increased transaction throughput using a mechanism called microblocks. Bitcoin and Stacks progress in lockstep, and their blocks are confirmed simultaneously. On Stacks, this is referred to as an ‘anchor block’. An entire block of Stacks transactions corresponds to a single Bitcoin transaction.

Stacksのブロックチェーンは「マイクロブロック」という仕組みを使って、処理速度を高めることができます。ビットコインとStacksは、同時並行で進みつつ、データが確定します。Stacksのトランザクションのブロック全体が、ビットコインの1つのトランザクションとなります。

言葉だと分かりづらいので、図を作っておきました。次のとおり。

microblocks

上記のとおりで、イメージ的には「Ethereumのロールアップ」と似ていますね。ロールアップが分からない方は「仮想通貨トレンド」の記事の「2.スケーリング技術」の項をどうぞ。

以上をまとめると、Proof of Workでは、コインのセキュリティを「ハッシュパワー」で担保しています。その一方でProof of Transferでは、ハッシュパワーの代わりに「ビットコインの送信」を使っています。以上が、簡易的な説明となります。

補足:転送したビットコインの使い道について

Proof of Transferで送られたビットコインは、果たしてどこに行くのか? 結論は、下記をご覧ください。

Proof-of-Transfer-btc

上記の「右側の赤枠」をご覧ください。要するに「Proof of Transferで送信されたBTCは、Stacksでステーキングしている人に配布される」という仕組みです。

なのでStacksの未来を信じる人は、Stacksのコイン(STX) をステーキングしつつ、同時に「BTCの配布」を得ることができます。なお、ステーキングについて詳しい内容は「仮想通貨の”ステーキング市場”について調査しました」の記事をどうぞ、

事例紹介:マイアミコインについて

参考までに、1つ事例を紹介します。Stacksのブロックチェーンを使いつつ、アメリカで「マイアミコイン」というプロジェクトが進んでいます。プロジェクトの内容は、下記の「公式の画像」を見ると理解しやすいです。

miami coin

マイナーがSTXを送りつつ、ネットワークに参加します。そしてStacksのアルゴリズムが働き、70%はSTXをステーキングする人に送られます。残りの30%は、マイアミ市に募金されます。要するに「自分の好きな都市を応援できる仕組み」とも言えますね。

なお、マイアミ市長は「マイアミコインによって、税収の未来が変わるかも」といった発言をしていましたが、その後にSTXの価格が急落したので、ショックだったかもです。マイアミコインの構想は面白いと思いますが、まだまだ課題も多いです。

その②:RSK (=Rootstock)

続いては「RSK」を紹介します。別名で「Rootstock」とも呼ばれます。まずは公式FAQから、サービスの概要を引用します。

RSK is the first general purpose smart contract platform secured by the Bitcoin Network.

RSKは、ビットコインのネットワークによって保護されたスマートコントラクトのプラットフォームです。

上記のとおり。先ほどに紹介したStacksとも似てますね。ビットコインとスマコンを接続したい場合は、2022年現在だと「Stacks」か「RSK」が有名です。

RSK上には、複数のサービスがあります

具体的には「RBTC」といった「ラップしたビットコインのサービス」や「ビットコイン上のDeFi」があります。あと「RIF」といった「ENSみたいなネームサービス」もあります。詳しくは公式からどうぞ。なお、本記事では「RSKのコア部分」である「マージマイング」を解説します。

RSKの「マージマイング」とは

こちらは、公式の画像をみると分かりやすいです。

rsk rootstock

上記のとおりで、先ほどの「Stacks」と似てますよね。また、Ethereumのロールアップにも似ています。Stacksの違いを解説すると、下記のとおり。

  • Stacks → 取引履歴は「Bitcoinチェーン」に刻まれる
  • RSK → 取引履歴は「BitcoinとRSKチェーン」の双方に刻まれる

上記のとおり。Stacksは、あくまで単体での話です。RSKは「マージマイング」という言葉のとおりで、つまり「マージ(=融合)」したマイニングです。ビットコインのチェーンと、RSKのチェーンをセットでマイニングします。

※補足:マージマイングやProof-of-Transferの違いについて深く学びたい方は「What Kind of Blockchain is Stacks」の記事をどうぞ。

マージマイニングのメリットとは

メリットは言うまでもなく、セキュリティの向上です。Binance社の解説ページから、下記のとおりに引用します。

Merged mining refers to the act of mining two or more cryptocurrencies at the same time, without sacrificing overall mining performance.

マージマイニングは、2つ以上の暗号通貨を同時にマイニングする方法です。その際に、ハッシュパワーは減りません。2つのコインに対して、同じハッシュパワーでマイニングできます。

上記のとおり。要するに「ビットコインだけマイニングしても電気代がモッタイナイから、別コインも同時にマイニングしちゃおう」という発想です。そして大きなメリットがあり、それは下記のとおり。

In theory, merged mining can be an interesting method for a small blockchain to increase their security. This could potentially reduce the possibility of 51% attacks, as long as enough miners agree to adopt merged mining.

理論的には、マージマイニングは弱小チェーンのセキュリティを高めます。充分な数のマイナーが参加すれば、51%攻撃の可能性を下げることができます。

上記がメリットですが、しかし課題もあります。それが下記です。

However, many developers disagree with such an idea, and claim that merged mining provides a false sense of security. Mainly because a relatively big mining pool that is not particularly dominant on Bitcoin could easily reach 51% hashing power on the smaller chain.

しかしながら、多くの開発者はマージマイニングの理論に否定的です。というのも、弱小チェーンがマージマイニングを実行すると、強いマイナーが簡単に51%攻撃ができる状態になる為です。

考えてみたら当たり前の話ですが、以上がマージマイニングの解説です。より詳しい内容は「How does merged mining work?」のページをどうぞ。

事例紹介:RSK上にある「Sovryn」を紹介

参考までに、Sovrynのプロジェクトを紹介します。このプロジェクトは「RSK」のブロックチェーン上に乗っかっており、BitcoinのDeFiを実現しています。 sovryn-app まだ「アルファ版」のサービスなので、簡易的な説明とさせてください。上記の画像のとおりで、DeFiのアプリが実装されています。Metamask繋ぐこともできて、仮に「BTC-USDT」のプールに流動性を入れると、利回りは「約8%」とのこと。

面白い試みではありますが、現状だと「なぜ、わざわざSovrynで資金運用するのか?」という状況ですね。Ethereum上のDeFiで運用した方が、高い利回りが期待できます

※補足:DeFiについて深く学びたい方は「DeFiを理解するための基礎ガイド」をご覧ください。

というわけで、、以上が前半パートです。 ここまでお疲れ様でした。今回の記事は、ちょい難しいかもです。基本的には「コンセンサス・アルゴリズム」にフォーカスしてきたので、もしかしたら眠くなった方がいるかもです。

なお記事後半は、たぶんサクサク読めます。ビットコインの未来を考えてみますので、あと3分程、お付き合いくださいませ。

ビットコインの将来性について考察する

僕がビットコインを語っても信頼性が低いので、基本的には「頭の良い人の思考を、引用するスタイル」で考えていきます。

10年後のドル = クリプト?

今回は「数学の天才でもあり、有名なチェスプレイヤー」でもある「Garry Kasparov (ガルリ・カスパロフ)氏」の言葉から引用します。

I think bitcoin will remain as a standard. But of course it cannot stay alone. So that’s why you have more coins coming in. It’s a natural process. Now we have thousands and thousands of coins. Ninety-nine point nine percent will be gone. But those that survive will become the Googles of the world. I’m not here to judge which one, but there will be few that will survive.

ビットコインはスタンダードとして残っていくと思います。しかし、当然ながら「ビットコイン単独」では残れません。だから、数多くのコインが出てくる訳ですね。これは自然な流れです。そして、99%のコインは消えていくでしょう。しかし生き残ったものが、未来のGoogleになります。生き残るコインを判断するつもりはありませんが、それは少数になるはずです。

上記のとおり。詳しくは「原文」を読んでほしいですが、ガルリ氏は「通貨バスケットの理論」を話しています。この説明は、僕にとっては「最もシンプルで、最もあり得る未来だな」と感じました。

マークザッカーバーグ氏は、天才な件

通貨バスケットに関して、皆さんは「リブラ」を覚えていますか? 現状は「開発停止」という状況ですが、以前にFacebook社が打ち上げた企画です。盛大なバズが起こりましたが、すぐに政府から規制され、結局のところリリースせずに「プロジェクト停止」となりました。

リブラ = 通貨のバスケット理論

マークザッカーバーグ氏はが目指していたのが、まさに「通貨バスケット」なんですよね。当時の記事から引用します。

The Libra’s value is tied to a basket of bank deposits and short-term government securities, including the dollar, pound, euro, Swiss franc and yen.

Libraの価値は、銀行預金と短期国債に連動しています。含まれる通貨は「ドル・ポンド・ユーロ・スイスフラン・円」です。

上記のとおりで、こういった「バスケット通貨」を作って、それを「ステーブルコイン=グローバルコイン」にしようとしていた訳ですね。これが実現していたら、Facebookは世界の王者になっていたかもです。言うまでもなくですが、数学の天才である「ガルリ氏」と「マークザッカーバーグ氏」は、未来予想が似ています。

今のビットコインに足りないものとは

ここからは僕の考えです。まずビットコインの未来の形としては、基本的には「バスケット的な感じで、どこかに組み込まれる」という考えが良さそうです。その上で思うことは、現状のビットコインには「コンポーザビリティが不足している」と言えます。

コンポーザビリティとは、要するに「組み込み型のレゴ」です。Ethereumネットワークには、色々なアプリがあります。そういったアプリは「dApps」と呼ばれており、1つ1つにコンポーザビリティがあります。要するに、誰でも簡単に「連結」ができます。ここが、大きなイノベーションだと言われています。

※補足:コンポーザビリティの詳しい説明は「コンポーザビリティの重要性について」の記事をどうぞ。

現状のビットコインには、コンポーザビリティがない

しかし現状のビットコインには、コンポーザビリティがありません。Ethereumネットワークには「WBTC」がありますが、言うならばこれは「偽物」です。WBTCは「ERC20」という形式で発行されていますが、中央管理者がいて、その人達が「本物のビットコイン」を管理しています。

イメージとしては、ゲームセンター内の「コイン」にも似ています。ゲームセンターで遊ぶには、コインを買わないといけないですよね。コインを買うことで、ゲームセンターで遊べます。これをビットコインに置き換えたのが、要するに「WBTC」です。こういった仕組みだと、中央管理者にパワーが集中してしまいます。WBTCを改善するプロジェクトも出てきていますが、現状は「WBTC」のマーケット規模が最大です。

ビットコインは、アクセサリーになる

ビットコインにコンポーザビリティが追加されたら、その先では「アクセサリーになるのでは」と考えています。メタバース内で「ビットコインのネックレス」が売られているイメージです。

もしかしたら「そんなもの、誰が買うんだ」と思うかもです。
しかし元ゲーム廃人の僕が思うに、これは売れるはずです。

そもそも今の世の中では、世界最大のアパレル企業は「フォートナイトである」と言われています。ゲーマーなら気持ちが分かると思いますが、好きなゲームがあると、その内部で「スキン=洋服」を買いたくなります。僕はPUBGというゲームが好きなので、定期的に洋服を買っています。

さらにフォートナイトに関していうと、かなり「ソーシャル性」の高いゲームです。つまり友人と一緒にゲームをするので、そうなると「流行りの洋服を買おう」とか、もしくは「友人とお揃いの服にしよう」といった気持ちが生まれます。こういった感情が、洋服の売上を加速する訳ですね。

ゲーム内ファッションの、ブランドが出現

ゲーム内ファッションが普及してくると、次に出てくるのは「ブランドでの差別化」です。最近の事例だと、フォートナイトは「バレンシアガ」とコラボしていますね。こういったブランドもそうですが、それだけじゃなく「ビットコインのネックレス=お金持ちであるとアピールできる」という商品も売れるはずです。

そのためにも、ビットコインにはコンポーザビリティが必要です。コンポーザビリティがないと、そもそもメタバース内にビットコインを持ち込めませんん。コンポーザビリティを実装するためにも、ビットコインへのスマコン実装や、もしくは他のイノベーションが必須だと思います。


というわけで、今回は以上です。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。

まだまだクリプト業界は発展途上ですが、僕はクリプトの未来を確信しています。業界を調べつつ、学んだことを発信しつつ、あとは「メタバースに引き込もれる、快適な未来」を楽しみにしています。


※PS:普段の思考やビジネス戦略は「積み上げメルマガ」から発信しています。