言語はこうして生まれる:僕の英語学習の「問題点」に気付けた一冊

本の概要

言葉は、今ここで発明されている。認知科学が明かす、まったく新しい言語の姿。相手に何かを伝えるため、人間は即興で言葉を生みだす。それは互いにヒントを与えあうジェスチャーゲーム(言葉当て遊び)のようなものだ。

読んでみて思ったこと

僕は論理思考タイプなので、英語を構造的に理解しようとしていた。しかし本書で「言語はジャスチャーゲームである」との内容を読み、もっと柔軟に考えようと思った。

言語は瓶詰めのメッセージをある人の頭から別の人の頭へと、固定の符号を使って送ることではない。むしろ言語は、手がかりを互いに伝えあうための、豊かで、類推的で、比喩的で、創造的な手段なのだと思わなくてはならない。

また、言語の「チャンキング (物事を細かくしたり、まとめたりする作業)」の話が勉強になった。下記の部分です。

チャンキングを例証するために、次のような一文を考えてみよう。発話の連続性をシミュレートするために、単語と単語のあいだのスペースを取り除き、音声以外の音をあらわすためにアルファベット以外の記号を挟んである。
W@ec%hunks#peechr&epeate%dlyintoe@#verbigg$erchunk&sofinc#reasi%ngabstr@action

第一段階として、音声信号がノイズやほかの背景音から分離される。すると、こうなる。
Wechunkspeechrepeatedlyintoeverbiggerchunksofincreasingabstraction

人は音声信号を長くは保存しておけないので、聞いたと同時に、すぐさまチャンキングにかかって音を音節にまとめる。すると、こうなる。
We chunk speech re peat ed ly in to ev er big ger chunks of in creas ing ab strac tion

音節にまとめたとたん、たとえそれが数個でも、すぐに音節どうしが干渉しあうので、それらの音節をできるだけ早く単語というチャンクにまとめる。すると、こうなる。
We chunk speech repeatedly into ever bigger chunks of increasing abstraction

これをさらにフレーズというチャンクにまとめる。
[We chunk speech repeatedly] [into ever bigger chunks] [of increasing abstraction]

上記を見たときに、僕の「英語学習の問題点」を理解できた。リーディングだけを勉強してきたので、音のリズムを掴めていない。なので、このようなチャンク化が出来ない。

これからは「スピーキング学習」も取り入れる必要性を感じた。人によっては「そんなの考えてみたら当たり前じゃん」と言うかもですが、納得しつつ学習を進めたい僕にとっては、学びに繋がる内容でした。

後半部分は全体的に流し読みをした。言語の歴史を深く学びたい方は、読んで楽しいと思う。僕は飽きを感じたので、必要そうな部分だけを読みました。

» 言語はこうして生まれる(著:モーテン・クリスチャンセン、ニック・チェイター)

僕のハイライト

言語はジェスチャーゲームだという比喩が教えているのは、言語は瓶詰めのメッセージをある人の頭から別の人の頭へと、固定の符号を使って送ることではないということだ。むしろ言語は──それが音声言語であれサイン言語であれ──手がかりを互いに伝えあうための、豊かで、類推的で、比喩的で、潜在的にきわめて創造的な手段なのだと思わなくてはならない

科学者たちとのつきあいのなかで、アルダは多くの科学者が明らかに熱意をもって自分の仕事に取り組んでいるにもかかわらず、それをうまく聴衆に伝えられずに苦労していることに気がついた。そしてこの問題を、科学者が聴衆と「協調」していないせいではないかと考えた。科学者たちは一般聴衆の視点で世界を見てはいないのだ。だから聴衆との共同作業でコミュニケーションをとろうとせずに、ただ自分から聴衆に向かって話しかけている。

コミュニケーションは一方通行路ではないのだということを忘れずにいれば、人は誰でも他人とやりとりする能力を向上させられる。自分が何を言いたいかに集中しすぎるよりも、相手が何を理解しているかに注意を払っていれば、コミュニケーションが成功する見込みは格段に上がる。

人は話すとき、たいてい「虚空に向かってしゃべっている」ような感覚で話している。つまり文がどこに向かうかを自分でも正確にわかっていないまま、最初の一言を発しているのだ。

就学前の子供にしても大人にしても、その言葉の使い方は、ジェスチャーゲームの参加者のジェスチャーの使い方と大差ない。ときに矛盾してもいいから創造的に道具を使いこなして、その場の言語ゲームをやりとげるのだ。言語を学習するということは、世界との創造的な会話ゲームの進め方を学習するということである。そして会話ゲームを進めるということは、その会話で意図されていそうなもの、その背景にあるもの、その言葉の過去の使われ方に注意を払う必要があるということだ。コミュニケーション氷山の隠れた部分は、世界そのものと同じぐらい重要なのである。

起業家のイーロン・マスク(テスラとスペースXの創立者)は人工知能のことを、人類の存亡にとって最大の脅威となりうる「悪魔を召喚する」ものだと言っている。

» 言語はこうして生まれる(著:モーテン・クリスチャンセン、ニック・チェイター)

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