【感想・ネタバレ】5000日後の世界【最も納得感のある未来予想】

レビューは下記に書きました。

さらに3つレビューを貼ります。

最後に僕のハイライトです

ケヴィン・ケリーという稀有な思索家が予測する「次の未来の姿」。それは、すべてのものがAI(人工知能)と接続され、デジタルと溶け合う世界で生まれるAR(拡張現実)の世界「ミラーワールド」だ。ミラーワールドでは、別々の場所にいる人々が、地球サイズのバーチャルな世界をリアルタイムで一緒に紡ぐ。百万人がバーチャルな世界で共に働く未来が到来するのだ。

都市は産業ごとに特化し、「この産業で働きたいならこの街を目指す」ということになるという。

AIなどのテクノロジーが進むと、これからは仕事の仕方が大きく変わると言われています。私の目に見えている未来は、いろいろなところで、百万人単位の人たちが一つのプロジェクトで同時に一緒に働くことが可能になるというものです。

今後は、社会インフラや社会倫理・習慣に関する問題の方が、技術的な実行可能性よりも重大になっていく

私は政府が若い人の旅行を推奨するために資金援助をしたり支援会社を作ったりするべきだと思うし、二年間旅行することを国民の義務にしてもいいぐらいの話だと思います。性別や障害のあるなしを問わず、誰もが高校卒業後、十八歳からの二年間をこうした活動に費やすのです。

音声通訳装置があれば非常に好都合です。まずは民族を超えて交流が進むこと。次に、新しい世界的な職場が開拓され、例えば英語が上手でないインドネシアの優れたプログラマーがいろいろなところで働ける

実はそうしたアジアの姿を見ていると、一抹の不安を感じました。現代のアメリカの、自国の政府は例外的な存在で、特別な役割を担うスーパーパワーで、世界の警察としてリーダーであり続ける、という考え方が通用しなくなってくると感じたのです。それこそがトランプ大統領が出てきた理由でもあります。アジアがずっと興隆し続け、アメリカが先頭に立つ時代が終わったことを認識できず、人々が感情的に抵抗しているのです。

中国やインド、韓国、ベトナムについていろいろ見てきましたが、この変容はまだ継続中で、これらの国は次の世代には完全に近代化されるばかりか、多くの点でアメリカやヨーロッパが成し遂げたものを上回ると思われます。私が中国やインドを定期的に訪れているのは、これから何が起きるのかを見届けたいというのも理由の一つです。

このように、グローバリゼーションやテクノロジーの進歩がどんどんと加速し不確実性が増す世界では、小学校から高校までの十二年間の教育で、「学び方を学ぶ」という汎用のスキルを持つ必要があるでしょう。そして高校卒業の段階で、自分に最適化した学びの方法を習得していなければなりません。われわれは誰もが少しずつ違った形で学んでいます。勉強を繰り返す間に十分睡眠を必要とする人、手を動かした方がいい人、聞いて学ぶ方がいい人、実際に行動した方がよく学べる人もいます。学ぶまでに同じことを五回繰り返す人も、四回で済む人もいるでしょう。しかし、まずは自分の学び方のスタイルを迅速に最適化する訓練をして、どうすれば最速で深く学べるかを意識し、理解しなければなりません。

さらに、新聞やオンラインの報道は、良いニュースより悪いニュースしか報じません。今日起きなかったことは報じないのです。ハーバード大学教授のスティーブン・ピンカーも言っていますが、良いこととは「今日は何も悪いことが起きなかった」ということなのです。例えば、今日あなたは、強盗に遭ったり道中で橋が崩れたりもしていません。でも、そういう話はニュースにはならず、唯一ニュースになるのは、例外的な何かいつもと違う話だけです。ですからニュースには最悪な話しか出ていませんし、現実をきちんと反映したものではないんですね。

成功することで、現状から外に出ることが難しくなってしまうのです。現状からちょっと無理して成長することは可能かもしれませんが、どこか別のところに移ることはとても困難です。そっちに移動することは生死に関わることです。また貧乏になり、愚かになり、初心者になり、落ちぶれてお金も儲からなくなる。成功すればするほど、完全さを求めます。より成功したら、その完成度を上げたくなるだけです。完成したものにちょっと手を加え、もっと高度なものにしようと考えてしまう。しかしレベルを上げるには、まずはいったん下げなければいけません。次のレベルに行くには、いったん谷底まで下りてまた登るのです。しかし、それができません。しかしこうして下りることは、成功者にとっては成功を否定するものなのでできないのです。

自分を本当に知るには失敗しなくてはならないし、上手くいかないことを経験しなくてはならない。科学とは失敗を基礎にしたもので、本当に進歩するためには上手くいかない実験をしなくてはなりません。イノベーションも失敗から生まれるのです。

新しい発見のためには、最適化とは反対のことをしなくてはなりません。失敗する可能性が高く、儲けの少ない、小さな市場へと方向転換をしないといけないのです。どう見ても、ビジネス的には悪い環境です。

会社というのはつまるところ、あなたの個性や人格を表現したあなた自身なのです。

私が実践してきたことで若い人にお勧めしたいのは、お金がまったくない貧乏生活を、ある期間進んで体験してみることです。例えばアフリカの村にでも行って二週間暮らしてみるとか、テントと食料を少し持っただけでハイキングしてみるのです。すると、ほとんど何も持たないことの喜びを知ることができ、何もなくてもやっていけるという気づきが得られます。

私は若い頃に自分の家を自ら建ててみたので、もしすべてを失い、家が燃えてしまい、株式市場が崩壊して財産がなくなっても、住む家は自分で建てられるという自信がつきました。寝袋で寝て、豆や米だけで生きるということも経験しました。ですから仕事を失って無一文になるという最悪の事態になっても恐ろしくないし、粗末な食事と寝袋で暮らしても大丈夫という自信があります。底辺の生活をしたことがあるので、スタートアップですべてを失うという最悪の事態も恐ろしくないのです。進んで貧乏な生活をしてみると、今後リスクを冒すことへの恐怖心がなくなります。

私は2010年に、テクノロジーに通底する普遍的な法則を書いた『WhatTechnologyWants』(邦訳は『テクニウム』)という本を著しました。この本を執筆する際は、歴史をたくさん調べ、おびただしい本を読みました。多くは歴史書でテクノロジーやアートの進歩に関する本でした。それらは科学の歴史でもあり、兵器や戦争、テクノロジーの進化に関するものでした。面白い意見を持っている筆者には直接会って話を聞きました。しかしそうした中で、一番役立ったのは、実際に書いてみることでした。書くことは考えるための方法の一つなんです。書いてみるまで自分が何を考えているのかがはっきりしませんが、何かを書いてみると、まるで自分がわかっていなかったことに気づくのです。

書いてみようとする過程そのものが、それについて考えることなのです。

未来を構想するプロセスの半分はその着想(アイデア)であり、その残りの半分というのはそれを実現していくためのエビデンス、やり方を探すということなのです。


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