ワカタケル:神秘性の強い歴史小説。引き込まれました

本の概要

時は5世紀、言葉は鳥や獣、草木たちにも通じていた。歯向かう豪族たちや魑魅魍魎を力でねじふせ、國を束ねるワカタケル大王。樹々の合間から神が囁き、女たちは夢の予言で荒ぶる王を制御する。

読んでみて思ったこと

めちゃくちゃ面白い。引き込まれてしまう歴史小説。神秘性の強い物語なので、そういったジャンルを好む場合には、楽しく読めると思います。

僕のハイライト

格は容れ物です。初めは空っぽでもともかく大きく構えることが肝要。その座にあって働けば、歳月を重ねれば、中は満たされてゆきます

あちらこちらに不満を燻らせる豪族はいる。吉備は何を考えているか、遠い熊襲は本当におとなしくなったのか。 もしも彼ら同士が密かに結託して大王の威令に歯向かえば面倒なことになる。密偵を配置するなど手配を怠ってはならない。 だが、結局のところ、この島々を束ねて司る上で大事なのは海の向こうなのだ。

ワカタケルが力を失い、それを案じたワカクサカが王位を譲るように迫って、怒った大王が大后を斬り殺した。こういうことをそのまま世に広めるわけにはいきません。私の仕事は國の威信に繫がる記憶の保持です。凶事は取り繕わなければならない

» ワカタケル(著:池澤夏樹)


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