【読書メモ】キャズム 新商品をブレイクさせるマーケティング理論

復習で流し読みしました。
後半は自分には不要だったので、ほぼ読んでいません。

めちゃくちゃ納得した部分がこちら

「アーリーアダプター」を相手にして成功したハイテク企業が、次の段階の「アーリーマジョリティ」に対して、これまでと同じ方法で製品を売り込もうとすると厄介なことになる。初期市場の顧客が行なった製品テストが成功裏に終了したような場合、ベンダーはそれを大々的に宣伝したくなるが、「アーリーマジョリティ」が聞きたいのはそういう内容ではなく、製品が現場で稼働している実例なのだ。つまり、ベンダーが「最先端技術」を宣伝したいと思っていても、「アーリーマジョリティ」が聞きたいのは「業界標準」という言葉なのだ。

完全に納得でした。僕は「アーリーアダプター」なので、ここを理解していませんでした。これは発信にも活かせそうです。

僕のフォロワー層は「アーリーアダプター」が多いですが、この発想を応用したら「アーリーマジョリティ」にもリーチ出来そうです。

Macがキャズム超えした方法

キャズム超えにて、業界水準の売り文句が必要。下記はMacの例です。

1980年代にマッキントッシュが初めてキャズムを越えたとき、ターゲットとしたニッチ市場はフォーチュン500社のグラフィックス・アート部門であった。これは特に大きなニッチ市場というわけではなかったが、経営陣やマーケティング担当者のためのプレゼンテーション資料を作るという大切な業務がそれまで社内で滞っていたのだ。このマーケット・セグメントが比較的小さなものであったことが幸いし、アップルはこのセグメントを短期間で支配することに成功した。そして、顧客企業内のかぎられた部門だけではあったが、アップルが標準仕様となったのだ。

続いてはセールスフォースの事例です。

セールスフォース・ドットコムは、ソフトウェア史上最速の成長企業となり、売上は40億ドルに迫っている。さらに、この企業規模に達してもなお、本書執筆時点で、25%の成長率を保っているのだ。彼らはいったい何をしたのだろう?興味深いことに、彼らは、業界に特化した市場(垂直市場)を追い求めなかった。その代わりに彼らが着目したのは、次のようなセグメントだった。「営業担当者だけを対象とする」。カスタマーサービス、マーケティング担当者などは対象外。

レビューは以上です。僕のハイライトも貼っておきます。

» キャズム 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論 (著:ジェフリー・ムーア)

僕のハイライト

本当に革新的なハイテク製品というものは、例外なく「一時的な流行」から始まる。その製品には既存の市場価値もなければ、用途も確立されていない。あるのは、一部のアーリー・アドプターだけが認めた「何かすごい機能」だけである。これが初期市場なのだ。次に、この製品でいったい何ができるのかと注目されはするが、製品が売れない時期がやってくる。これがキャズムである。現実にこの製品の有効性が証明されれば、つまり、製品の価値が顧客に理解され、妥当な価格で安定供給されることが実証されれば、メインストリーム市場の中で新たなセグメントが形成されることになる。そして、このセグメントの形成は短期間で行なわれることが多く、パイオニアは莫大な先行者利益を手にすることが出来る。

人工知能のテクノロジーを利用して画像から必要な情報を抽出する同社の製品は、ちょうどネットショップがウェブ上で行なっている顧客の来店トラフィック管理を、実店舗でも可能にするシステムだ。このシステムの第一版は好評を博したが、その後、店舗への導入作業で困難に直面し、費用が大幅に増加し、パフォーマンスも期待値を大きく下回った。その結果、獲得した顧客は将来に向けての先行事例とならず、しばらく苦難の日々が続いた。しかし経営体制が刷新されると、業績が急激に回復し始めた。まず手始めとして、基本的な問題解決に専念したのだ。それは、毎日、来店する顧客数を把握することだった。これを、現行システムより速く、安価に実現できるようにしたのだ。さらに、このシステムは、これまで顧客に提案してきた機能に比べれば単純きわまりないものであったが、それでも、実ビジネスに結びつき、利益につながるものであった。そこを出発点として、同社は、映像テクノロジーを活用した新システムを作りあげていった

プロジェクトが成功しようが失敗しようが、ビジョナリーは一カ所に長く居続けるタイプではない。彼らは、企業から企業へと移り、出世街道をひた走ることだけを考えている。それとは逆に、実利主義者は、現在の勤務先で自分の専門を長期にわたって全うしようと考えている。実利主義者は、結果の成否にかかわらずその結果から逃れられない立場にあるために、いきおい、壮大な計画に対しては注意深い態度をとるようになる

まずニッチ市場から攻めるというアプローチをとらないでキャズムを越えようとするのは、たきつけを使わないで火をつけるようなもの

ひとことで言うなら、キャズムの時期に販売重視の戦略を立てるのは致命的である。その理由はこうだ。これからメインストリーム市場に進出しようとする企業が目指すのは、何よりもまず、メインストリーム市場での橋頭堡を確保することである。つまり、先行事例となる実利主義者の顧客を獲得し、そこを起点としてメインストリーム市場の他の顧客を攻略するのだ。この先行事例を打ち立てるためには、メインストリーム市場における最初の顧客の購入目的──発注書をもらうために、ベンダーが顧客に約束したこと──が完全に実現されるように、ベンダーは万全の体制で臨まなければならない

たとえば、一九八〇年代にマッキントッシュが初めてキャズムを越えたとき、ターゲットとしたニッチ市場はフォーチュン五〇〇社のグラフィックス・アート部門であった。これは特に大きなニッチ市場というわけではなかったが、経営陣やマーケティング担当者のためのプレゼンテーション資料を作るという大切な業務がそれまで社内で滞っていたのだ。このマーケット・セグメントが比較的小さなものであったことが幸いし、アップルはこのセグメントを短期間で支配することに成功した。そして、顧客企業内のかぎられた部門だけではあったが、アップルが標準仕様となったのだ。しかし、もっと重要なのは、このニッチ市場を支配したアップルは、そこを起点として社内の隣接する部門に市場を拡大していったことだ。まずマーケティング部門を支配し、それから営業部門を支配した。マーケティング担当者は、製品展示会に向かう途中でもプレゼンテーション資料の修正ができることに気づき、営業担当者は、マックがあればマーケティング担当者が横にいなくてもよいことに気づいた

彼らは、自分たちがキャズムの中にいることを自覚していた。そして、そのキャズムから抜け出すためには、まず、橋頭堡となるマーケット・セグメントを決めなくてはならないことも知っていた。そこで、それまでに入手していた顧客の声をあらためて調べ直し、驚くほど小さなニッチ市場をターゲットとした。そのニッチ市場とは、フォーチュン五〇〇社に含まれる製薬会社の薬事規制担当部門だった。世界中見渡しても、このクラスの製薬会社は四〇社程度しかない。その中で最大規模の企業でも、薬事規制担当部門の社員数は二、三〇人かそこらだろう。これからターゲットにするマーケットを、「あらゆる大手企業で複雑な文書管理に携わっているあらゆる人たち」から、「地球上のすべてのユーザーを合計してもたかだか千人程度の小さなマーケット」に絞るなどということを、どのように説明するのか?答えは──キャズムを越えようとするときには、顧客の数でターゲット・マーケットを決めるのではなく、顧客が感じている痛みの大きさで決める──ということ

セールスフォース・ドットコムは、ソフトウェア史上最速の成長企業となり、売上は四〇億ドルに迫っている。さらに、この企業規模に達してもなお、本書執筆時点で、二五%の成長率を保っているのだ。彼らはいったい何をしたのだろう?興味深いことに、彼らは、業界に特化した市場(垂直市場)を追い求めなかった。その代わりに彼らが着目したのは、次のようなセグメントだった。営業担当者だけを対象とするカスタマーサービス、マーケティング担当者などは対象外

セールスフォース・ドットコムが対象としたのはあくまでも営業担当者であり、彼らと彼らの上司が営業の進捗状況を把握することが主たる目的だった。そして、このシステムにより、それぞれの見込み顧客がいまどのような状況まで進んでいるか、また、その見込み顧客を次の段階に進めるために何をすればよいかを把握することができた

キャズムを越えるときに橋頭堡として選ぶべきセグメントを、以下にまとめてみよう。次の段階で先行事例にできるほど大きいこと。そのセグメントを制覇できるほど小さいこと。ベンダーが提供する製品(サービス)が効果を発揮するセグメント。

» キャズム 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論 (著:ジェフリー・ムーア)

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